目的
進化的アルゴリズムを用いたAI設計システムにより、電動シェーバーの性能限界を突破し、製品開発における新たな可能性を実証する。
概要
パナソニックは、20年以上の歴史を持つ電動シェーバー「LAMDASH」シリーズにおいて、AIによるゼロベースの設計手法を開発。人間の設計を15%上回る性能向上と開発期間の大幅短縮を実現し、次期商品への採用を検討中。
背景や課題
LAMDASHシリーズは長年の改良により性能向上の限界に近づいていた。特にリニアモーターの出力向上が課題となり、人間の経験と勘に基づく従来の設計手法では breakthrough(画期的な進展)が見込めない状況であった。現場からは「最終ゴールが見えない」という声も上がっていた。
実施内容
独自開発の進化的アルゴリズムを用いたAI設計システムを構築。モーターの駆動部品「ムーバー」の構造をゼロベースで設計し、磁場、運動、制御の3要素を組み込んだ「連成シミュレーション」と組み合わせて性能を最適化。一部の拘束条件を除き、AIが自律的に設計を改善していくシステムを実現した。
結果
人間の設計者が数カ月かけて達成する数%の改善を、わずか数日で実現。最終的に従来比15%の性能向上を達成し、電動工具や車載用モーター、シーリングファンなど他製品への展開可能性も確認。この成果は、実世界のものづくりにおけるAI活用の新たな可能性を示す画期的な事例となった。