実施企業
日本シップヤード株式会社
技術提供企業
アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社(AWS)、フューチャーアーキテクト株式会社
目的
IoT技術とクラウドを活用して船舶運航のデジタル化を実現し、CO2排出削減と船員の業務効率化を推進する。
概要
日本シップヤードは船舶運航支援統合プラットフォーム『Sea-Navi® 2.0』をAWS上に構築。船舶の運航データをリアルタイムで収集・分析し、環境対応と業務効率化を実現。2023年5月時点で約100隻に導入され、海運業界のデジタルトランスフォーメーションを推進している。
背景や課題
国際海事機関が2050年までのCO2排出ゼロを目標に掲げる中、海運業界では環境対応が急務となっている。また、船員による手作業での機器データ収集や報告作業の負担が大きく、業務効率化も課題となっていた。近年の通信技術の進歩により、船舶でもブロードバンド接続が可能となり、リアルタイムなデータ収集と分析の実現が期待されていた。
実施内容
AWSのマネージドサービスとサーバーレスアーキテクチャを活用し、柔軟で拡張性の高いプラットフォームを構築。Amazon DynamoDB、AWS Lambda、Amazon Athenaなどを採用し、データの収集・分析・提供を実現。2019年秋から開発を開始し、同年末には1隻目のシステム導入を完了。船主だけでなく、機器メーカー、荷主、港湾、検査機関など、様々な関係者がデータを活用できる仕組みを実装。その革新的な取り組みが評価され、日本海事協会のInnovation Endorsement認証を取得。
結果
燃料消費とCO2排出量の可視化により、効率的な運航が可能となり、環境規制への対応を実現。船員の手作業による計器確認・レポート作成作業を自動化し、業務効率を大幅に改善。舶用機器メーカーは機器の運転データをリアルタイムで取得でき、遠隔でのトラブルシューティングや研究開発に活用。現在は10~20分間隔でのデータ取得を行っているが、今後はさらにリアルタイム性を高め、将来的な自動運航への対応も視野に入れて開発を継続している。