実施企業
株式会社リコー
技術提供企業
アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社(AWS)
目的
GPT-3相当の独自業務特化型AIモデルを開発し、業務効率化と顧客サービスの向上を目指す。
概要
リコーは1990年代からAI開発に取り組み、2022年にAWSの支援のもとGPT-3相当の独自AIモデルを開発。3か月という短期間で開発を完了し、業務特化型の生成系AIとして実用化を進めている。
背景や課題
リコーは2020年にOAメーカーからデジタルサービスの会社への転換を宣言し、2025年度までにデジタルサービスの売上比率60%超を目標に掲げている。従来のBERTモデルでは性能に限界があり、より高度な言語処理能力を持つAIの開発が必要であった。そこで、GPT-3相当の大規模言語モデル(LLM)を活用し、複合機事業などの専門用語を正確に理解できる業務特化型AIの開発に着手した。
実施内容
AWSのGPUインスタンスを活用し、Amazon SageMakerによる分散学習環境を構築。Amazon Machine Learning Solutions Labのエキスパートによる技術支援を受けながら、独自のAIモデル開発を進めた。開発過程で発生したデータ転送の課題はAmazon FSx for Lustreを活用して解決。また、AWS LLM開発支援プログラムにも参加し、日本のLLM発展に向けた取り組みを推進している。現在は「ベクトル検索」と「カスタムGPT」の2つのサービス開発を進めており、保守業務での活用やデジタルヒューマンの開発など、様々な応用展開を検討している。
結果
わずか3か月という短期間で、日本語に強く、高速で良質な文生成が可能な独自のAIモデルの開発に成功。保守作業の効率化や顧客対応の自動化など、実用的なサービス展開の準備が整った。今後は、RLHFなどの技術開発やプロンプトエンジニアリングの拡充、次世代GPTモデルの開発など、さらなる進化を目指している。また、AI開発に関する技術やノウハウが社内に蓄積され、自社での解決力が向上した。