実施企業
日産自動車株式会社
技術提供企業
シーメンス株式会社
目的
新型電気自動車「アリア」の生産ラインにおけるデジタル化とオートメーション技術の導入
概要
シーメンスは、日産自動車の栃木工場において、新型クロスオーバーEV「アリア」の製造ラインに最新のオートメーションとデジタル化技術を提供。電動パワートレインの生産・組立ラインの効率化を実現しました。
背景や課題
自動車産業は気候変動対策やCO2規制の厳格化により、電気自動車への転換が急速に進んでいます。日産自動車は「ニッサン インテリジェント ファクトリー」構想のもと、栃木工場をゼロ・エミッション生産の拠点として位置づけ、新型EVの生産に向けた革新的な生産システムが必要でした。また、より高機能なECU(電子制御ユニット)を搭載する次世代EVの製造には、高度なデジタル化と生産ラインの柔軟性が求められていました。
実施内容
シーメンスは、最新の安全PLCシステム「Simatic S7-1500」と分散型I/Oモジュール「ET200SP」を統合したOne Single Solution(OSS)を導入。現場からマネジメントレベルまでの一貫した通信を実現する「Profinet」と、すべてのオートメーション機器を統合する「TIAポータル」を実装しました。さらに、ECUのデータ書き込みや車両電装品の検査を行う診断システム「Sidis Pro」を導入。これにより、生産計画に応じた柔軟な変更や、システムの標準化が可能となり、効率的な生産体制を構築しました。また、両社は長年にわたりソフトウェア分野で協力関係を築いており、日産はシーメンスのデジタルインダストリーズソフトウェア製品を活用して、設計から生産までの最適化を図っています。
結果
新型EV「アリア」の生産ラインにおいて、デジタル化された計画作成から統合エンジニアリング、透明性の高いオペレーションまでの一貫したシステムを実現しました。この導入により、生産ラインの柔軟性が向上し、高品質な車両生産が可能となりました。また、システムの標準化により、他の生産拠点でも少ないリソースで効率的な業務遂行が可能となり、日産のカーボンニュートラル目標の達成に向けた重要な一歩となっています。