実施企業
Schott & Meissner Maschinen- und Anlagenbau GmbH社
技術提供企業
シーメンス株式会社
目的
コロナ禍における医療用マスクの需要急増に対応する高性能マスク製造機の開発
概要
不織布加工の専門メーカーであるSchott & Meissner社が、シーメンスの制御・駆動システムを採用し、1分間に最大60枚のFFP2マスクを製造できる高速マスク製造機を開発。わずか4ヶ月という短期間で市場投入を実現。
背景や課題
2020年3月のパンデミック発生により、医療用マスクの需要が急増。同社は不織布加工技術を持つメーカーとして、FFP1およびFFP2マスク製造機の開発要請を多数受けることとなった。市場ニーズに迅速に応えるため、短期間での開発が求められる一方で、長期的な使用に耐える高品質な機械の実現という相反する要件を満たす必要があった。また、様々な種類のマスクに対応できる柔軟性も必要とされた。
実施内容
最大6層の不織布を加工でき、イヤーループやヘッドバンド、呼気バルブなど様々なオプションに対応可能なモジュラー式のマスク製造機を開発。制御システムには、SIMATIC S7-1516TF-CPUを採用し、SINAMICSドライブシステムと1FK2同期サーボモーターで各製造工程を制御。TIAポータルによる統合的な設定環境により、既存の制御プログラム資産を活用しながら、シーメンスアプリケーションプログラミングセンターの支援を受けて、オートメーション、安全機能、モーションコントロールを並行して開発。これにより、通常2ヶ月かかる制御システムの開発期間を1ヶ月に短縮することに成功。
結果
2020年9月に最初の機械の稼働を開始し、同年12月までに3台の納入を実現。8時間のシフトで最大28,800枚のマスクを製造可能な生産性を達成。産業部門だけでなく、医療機関や介護施設からも多数の引き合いを獲得。コンパクトな設計により、病院の地下室などの限られたスペースにも設置可能な柔軟性を実現。パンデミック後も継続的な需要が見込まれ、開発で得られたノウハウを他の用途にも展開可能な成果を得ることができた。