実施企業
AGCファーマケミカルズ(スペインと日本に拠点を持つ医薬品開発・製造受託企業)
技術提供企業
シーメンス株式会社
目的
ペーパーレス製造実行システムの導入による生産プロセスの完全デジタル化
概要
AGCファーマケミカルズは、シーメンスの支援を受けて、従来の紙ベースの生産プロセスから完全なデジタルシステムへの移行を実施。Simatic PCS 7分散制御システム(DCS)とSimatic Batch電子バッチ記録(eBR)を導入し、製造プロセスの効率化と品質管理の向上を実現している。
背景や課題
業界平均を上回る成長率に伴い、高い運用基準を維持しながら需要に対応する必要があった。品質とプロセス管理が手作業による文書化に依存しており、ミスのリスクや作業負荷が課題となっていた。また、FDAの規制に準拠したデータ管理と完全性の確保も必要とされていた。
実施内容
第1段階として、3つのネットワーク、50のコントローラー、40のオペレーターステーションで構成される生産運用システム全体をSimatic PCS 7にアップグレード。24時間稼働の工場を止めることなく、システムの複製、シミュレーション、移行を実施。第2段階では、Simatic Batch電子バッチ記録(eBR)を導入し、作業者、プロセス、機器、原材料に関するデータを統合的に管理するシステムを構築。80以上の生産設備から4,000以上のデータタグを収集・記録する体制を整備。
結果
530以上の手動入力作業が不要となり、データの完全性が確保され、プロセスが大幅に簡素化。制御システムとMESシステムの統合により、リアルタイムでの製造データ取得が可能となり、品質管理の精度が向上。FDAの規制要件も満たし、製品の各製造段階における完全な文書化と透明性を実現。これにより、スピードと柔軟性を備えた高品質な医薬品製造体制を確立している。a