実施企業
株式会社デンソー
技術提供企業
シーメンス株式会社
目的
次世代自動車製品の開発プロセスにおけるモデルベース開発(MBD)の技術基盤の確立
概要
デンソーは、電動化や先進安全/自動運転の実現に向けて、シーメンスのソフトウェアとサービスを活用し、全社規模でのモデルベース開発(MBD)を導入。製品開発プロセスのデジタル変革を推進しています。
背景や課題
自動車産業は100年に一度と言われる大変革期を迎えており、電動化や自動運転などの新技術への対応が急務となっています。デンソーは、車両視点およびサブシステムでの価値追求による成長戦略を掲げており、これを実現するために全社規模でのモデルベース開発の迅速な展開が必要でした。欧州での調査により、多くの自動車メーカーで実績のあるシーメンスのMBDソリューションに着目し、長年のパートナーであるシーメンスと共同での開発を決定しました。
実施内容
シーメンスは、デンソーのMBDプロセス開発とシステム開発を同時に支援。プロセスコンサルティング、設計現場でのパイロットプロジェクト、実験結果からのモデル化手法確立などを提供しました。具体的には、Simcenterシミュレーション・テストソフトウェアを導入し、解析専任者と一般設計者の両方が利用可能な1Dシミュレーション環境を構築。さらに、Teamcenterを活用して1Dモデルデータの国内外拠点間での円滑な共有を実現しました。現在、サーマルシステム、パワートレイン、エレクトリフィケーションの主要事業で部門横断的なパイロット展開を行い、機能要求の抽出を進めています。
結果
わずか3年間でMBDのパイロット展開を実現し、設計者間のコミュニケーションが活性化され、設計の質が向上しました。モデルをコミュニケーションの媒体として活用することで、機能間を横断した広範な設計検討が可能になり、設計者の成長スピードも向上しています。これにより、システム視点での自動車メーカーへの積極的な提案や、既存課題の解決に向けた効果的な議論が可能になりました。今後は制御領域への展開や車両レベルへの挑戦、さらにはTeamcenterを介した製品全体開発プロセスとのデータ連携も計画しています。