実施企業
沖電気工業株式会社
技術提供企業
不明
目的
複数工場を仮想的に一つの工場として統合し、生産効率を向上
概要
埼玉県本庄市と静岡県沼津市にある2つの工場を、「部門間融合」「生産融合」「試作プロセス融合」「IT融合」の4つの柱で仮想的に統合し、コスト削減と外部環境変化への対応力を強化。
背景や課題
マスカスタマイゼーションへの対応必要性や社会変化による需要減に対する危機感から、工場間の横連携体制を検討。各工場で異なる製品を生産しているが、設計部門は各工場に最適化した仕様設計をしており、図面の描き方や技術標準がそれぞれ異なるなど、共通の仕様による生産が行えない状態だった。
実施内容
工場ごとに分かれていた設計部門から出される図面等の各種設計情報を共通化し、各工場の生産形態の特徴や製造に対する考え方、知見等を整理・把握し、設計データを各工場で受け取れるようにした。4つの融合を中心に工場間の融合を推進:「部門間融合」では生産、技術、品質の各部門で交流会を実施し、効果のある施策の水平展開「良いとこ取り活動」を実現。「生産融合」では生産状況を見える化し、各工場の負荷状況が明らかになり、各工場の得意技能も明確化。「試作プロセス融合」では大量生産品を扱う工場では試作生産をメーカーに依頼していたが、多品種少量生産に強い自社工場で試作を行うことで、試作の効率化とスピードアップを実現。「IT融合」では工場間で異なる生産管理システム(ERP)の統合検討を開始。各生産拠点での、デジタル化専門の生産技術人材は少ないこの為、プロジェクトごとに各生産拠点から人材を抽出し、自社の研究開発部門と連携し、課題解決に取り組んだ。
結果
2工場の生産高の合計規模を維持しながら効率化を進め、コスト削減だけでなく、2工場間の人材や技術の交流を活発化した。これにより、技術等の共通化だけでなく、両拠点の強みをうまく生かした生産体制の構築ができた。工場間の連携により、多品種少量生産のニーズの取り込みや人手不足に対応した工場間の負荷分散等、外部環境変化への対応が実現できた。